個人の事業主が事業で使った費用。

経費としてどこまで申請するか、しないか、
計上できるのかできないのか。

これによって、
納める税金の金額が変わるなら、
個人事業主の収入に
も大きな影響があります。

今回の記事では、
個人事業主が申請できる
「経費になるもの」、
「経費にならないもの」とを
紹介します。

※法律・制度の変更に伴い、
書かれた内容が現行とそぐわなくなる
場合もあります。

関連する記事:



事業の経費に計上できるもの


  • 租税公課
  • 荷造運賃
  • 水道光熱費
  • 通信費
  • 旅費交通費
  • 広告宣伝費
  • 損害保険料
  • 福利厚生費
  • 修繕費
  • 消耗品費
  • 減価償却費
  • 給料賃金
  • 外注工賃
  • 利子割引料
  • 地代家賃代(事業で自宅を使用している場合)
  • 貸倒金


もう少し具体的に、
個人事業主の経費計上の事例であげますと、


【自宅を事業でも事務所や作業場として
使用している場合】

家賃も経費に計上できます。

その場合、事業として使用している面積
の割合に応じた計算で計上します。

自宅の3割の面積を使用していたら、
家賃の3割を経費として申請します。


【自宅兼事務所を引っ越すときの引っ越し代

引っ越し費用:上記の家賃と同じで、
事務所として使用している部分の面積の
割合に応じた計算で、費用を計上します。

礼金:上記同様、割合に応じて経費に計上できる

敷金:敷金は経費に計上できません・・・。


【携帯電話代

通信費として経費に計上できます。
ただし、プライベート用と仕事用とを
一緒に使用している場合は、
仕事で使用した部分の割合のみ
経費にしかできません。

【荷物を送る際の梱包などの品物代

ガムテープや梱包用の箱など、
経費になります。

配送用の品物代はすべて
荷造運賃費として計上できます。

ほかにも
【事業で暖を取るためのストーブの灯油購入代】
【自宅を事業でも使っている場合の水道代】は、
経費に計上できます(水道光熱費)。

ただし、電気・水道・ガスは、
事業で使っている割合の分が経費になります。

事業でも使う自家用車のガソリン代
も同様です。事業で使っている部分のみが
経費に計上可能になります。
(走行距離100キロのうち30キロが
事業用なら30キロの部分のガソリン代)

車の購入費用の減価償却費も、
事業での使用割合に応じた計算での
費用計上になります。


また、
【電子マネー(SuicaやPASMO)で
支払った交通費】
も経費に計上できます。
ただし、SuicaやPASMOのチャージ時に
発行される領収書だけでは、
交通費として認められにくいので、
履歴を印刷して残しておきます。

また
【事業のための名刺の作成代
【事業の宣伝に使っている年賀状
は経費になります。

さらに、
【職務でもっぱら活用する被服】
たとえば、職務でのみ着るスーツ代
などは費用になる場合も・・・。

【セミナー参加費】

事業に関係があるなら経費になります。
同様に、事業に関係ある書籍や雑誌など
の購入費も経費に計上できます。


【忘年会】

取引先との忘年会でかかった費用は
「接待交際費」で計上できます。
ただし一次会の費用までしか、それも
社会通念上、通用するまでの金額でなら
認められるとされます。

【「会議」を目的とする会食(会議のための
飲食)】
の費用も「会議費」として計上できます。


【カフェで仕事した場合の飲食代】

ノマドワーカーが、スタバのような
カフェなどでパソコンを開いて仕事する際に、
注文した飲み物代は、経費に計上できます。

ただし、食事代部分は「家事費」となり
事業の経費には計上できません。


【店舗をDIYで補修したときの材料代】

店舗の修復で、自分で板を買ってきて補修
した場合の板の代金は経費に計上できます。

【有料アプリに課金してレビューを執筆】

ブロガーが、アプリのレビュー記事を
執筆するためにアプリに課金した場合は、
経費が認められる場合も(取材費)。

同様に、
【ブロガーが飲食店で飲食した
レビュー記事を執筆】
すれば、

その飲食店での飲食代は経費として
取材費が認められる場合があります。

事業の経費に計上できないもの


  • 事業主の給料
  • 敷金
  • 事業主自身の健康診断費用
  • 事業と無関係の費用
事業で車を使った際の罰金

仕事中、駐車違反で罰金を取られた場合。
罰金は経費にはなりません。
レッカー代などの費用は経費に計上できます。

【メガネ代

職務時だけでなく、普段も使う場合が
あるという理由で経費になりません・・・。


【スポーツクラブなどの会費

個人事業主には「福利厚生」という
ものがありませんので、経費に計上は
普通、できません。

【健康診断や人間ドックの費用】

法人の場合と異なり、個人事業主の場合
プライベートな出費とされます。

【生命保険料】

法人の代表は経費になりますが、
個人事業主の場合は経費になりません。
生命保険料控除の対象にはなります。

【仕事でケガをして病院に行く】

治療費なので残念ながら経費にはなりません。
一定の額を超えると「医療費控除」の
対象になり所得から引くことができます。



経費になるかならないか、ケースバイケースの例

【自宅兼事務所に置いた観葉植物の費用】

事業用として区分されたエリアに
置かれているものなら経費になる
可能性が高いです。

【自宅兼事務所に設置したウォーターサーバー
の費用】

事業で使用しているなら経費で計上できます。
事業のお客様用になら、「交際費」の科目で
経費計上が可能です。


【配偶者同伴が義務の出張】

経費として認められるケースもありますが
(旅費として)、家族旅行としての経費
なら認められません。


【タブレット端末のレビュー記事を執筆
したときのタブレット購入代金】


記事を書くためだけに購入したなら、
経費に認められることもありますが、

そのあともプライベートで使用するなら、
購入代金は家事関連費になり、
事業用の経費にはなりません。

経費に認められるためには、
事業用と家事用の区分を明らかに
する必要があります。

家事関連費の区分

今まで見てきた事例に、
しばしば「家事関連費」が登場しています。

事業用の費用と家事用(プライベート)の費用との
割合を按分できるのであれば、
事業用の部分は経費として申請できる
ケースもあります。

ただ、この割合(比率)の考え方は
明確な決まりがありません。

事業部分の区分(比率)が明らかにできる
と自身が思えるのなら・・・、
家事関連費を、その事業用の部分のみ、
経費として計上申請してみても
いいでしょう。

もし税務署からの問い合わせがきたら、
あきらかに区分できる部分を主張します。

第三者からみて「事業と無関係ではない」
として経費と認められれば、節税対策に
なります。